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S様邸 築147年の伝統的家屋を古民家再生リフォーム(米子市 立町)玄関編
離れだった浴室と脱衣場を居室と隣接させる為に、台所を今までの場所から表通り側に配置移動し、そこに独立した玄関を造りました。
車庫のデッドスペースを利用して玄関ホールを造りました。
来客者をお出迎えする際に寒くならないようにビシッと区画しました。
今までは初めてお宅を訪問した方は「どの扉を開けたらいいの?」と迷われたかと思います。
「ここが玄関ですよぉ」と主張するくらいの立派な玄関になりました。
この立町の商屋通りは寺町のお寺通りから後藤家までの範囲が米子市景観区域の内、旧加茂川・寺町周辺景観形成重点区域に指定されており、周辺の景観と調和し、全体として歴史的資産のある街並みに反しない意匠及び形態でなければならないという条例が定められていました。
洋風でなく和風に限定され、もちろんガレージのシャッターなどに改造することは厳禁だそうです。
お車でお出掛けされる度に、戸を閉めなければならないので大変なことです。
今までは4枚の戸をそれぞれの位置に合わせ、それぞれの戸に鍵を掛けなければなりませんでした。
玄関とガレージを分けたことで半分の2枚になり、そして匠の技で正面右端の一枚の戸を動かすと隣の戸が連動するように工夫し、鍵も戸先側の一ヶ所だけで閉まるようになりました。
一番重要な条例で定められている意匠と形態は、今までよりも古くて存在してたかのように古民家を主張する格子戸を取付けました。
4枚とも同じ意匠ですが、玄関側は門扉として硝子なし。
ガレージ側は内側が見えないように、また雨風が吹き込まないように霞硝子を入れました。
より一層、古民家の風格を醸し出しますよね。
正面左側の門をくぐり踏込を設け、玄関前に外灯とドアホンを設置しました。
家が奥に長いので訪問者が声を掛けても聞こえないことが多かったと思います。
「どこでもドアホン」という携帯型の子機なので100メートル以内であればどこでも通話ができます。
更に、留守録機能がついてますので不在の時でも安心ですよね。
そして玄関のアルミサッシは柿渋調の板格子タイプを採用し、重みのある上品な雰囲気に変身しました。
性能としても車椅子有効で段差解消のバリアフリー適合商品であり結露、騒音を抑える断熱商品です。
車の通りの多い場所ですが、とても静かで寒さを感じさせないようになりました。
内側へ入ると大型の玄関収納を設け、更に多目的に使用できる収納を設けました。
棚板の組み合わせで、季節物にも対応できます。
壁は珪藻土をふんだんに使い、熟練された左官職人の技で個性的な模様に仕上げました。珪藻土は調湿性能と脱臭性能に優れており、温度差のある玄関には最適です。
DKと同様に豪快な梁組を見せ、玄関扉を開けた瞬間に歴史を感じさせるような仕上がりになりました。
この玄関を中心に、ガレージ・台所・中の間へと続いており、それぞれの出入り口の位置をずらすことで今までのように中が見渡せないように工夫しました。
また、それぞれの空間が区画されても動線に支障がなく、今までよりも無駄のない動線になったと思います。
玄関から奥に進むと、タイムスリップしたような神棚を備えた中の間「常居(ジョイ)」が見えてきます。
そして、大黒柱と松の梁が現れてきます。新旧の調和がたまりませんね。ー 次回に続く ー